いよいよ経済活動も再開の兆しが見えてきました。
とはいえ、これからもしばらくは、新型コロナウイルスの影響が我々の生活や職場にさまざまな影響を与え、元の生活に戻るのは厳しいでしょう。
経済活動をしっかり行いながらも、感染リスクを最小限に抑える。
この二律背反させる高度な判断を1人ひとりに求められる、それが「ニューノーマル」下におけるビジネスパーソンの在り方となります。
「ESG」が働き方のキーワードに
さて、皆さんは「ESG」という言葉をご存知でしょうか。
企業活動に求められる「環境(Environment)」「社会(Social)」「ガバナンス(Governance)」の頭文字を取ったもので、今や企業経営においては欠かせない重要な要素なのです。
一言でいうと、社会との共生を前提とした経営です。
チョコレート菓子メーカーが「原材料供給の安定化」を目的に、カカオ産出国の教育環境の整備に力をいれているのもその1つ。
コロナ禍におけるビジネスパーソンにとってのニューノーマルを考える際、このESGの観点で整理をするとかなりわかりやすくなります。
私は企業研修講師ですが、4月以降に増えた研修が、
- 非対面型の営業力向上(わざわざ行かない)
- リモートを前提としたタイムマネジメント、メンバーマネジメント
といった、三密を避けながら成果を出すためのスキルアップ研修です。
この数カ月で、企業が従業員に求めるスキル、スタンスは大きく変わってきています。
ニューノーマル(新しい常識)の時代では、そんな社会との共生を意識したビジネスパーソンの心得が求められるのです。
その1つひとつを詳しく見ていきましょう。
Environment:環境への意識を高める
日常の些細なことで出来ることを考えてみましょう。
たとえば、次のようなことに目を向けていますか?
- マスクを破棄する際はビニール袋に入れてから捨てていますか?
- ゴミの分別は必ず守っていますか?(再分別する方の感染リスクになる)
- ゴミが破裂しないよう余裕を持って袋を縛っていますか?
そんな些細な日常の配慮をすることからがスタートです。
Social:社会への意識を高める
「S」が、ビジネスパーソンにとって最も変化を求められるパートになります。
特に意識をせずに、今までの常識をそのまま継続してしまうと「非常識」と言われかねません。
ここでは、ビジネスパーソンが意識しておくべき新しい常識を確認しておきましょう。
自分や周囲の“感染リスク”を避ける行動
- 社内の会議はいちいち集まらないようにし、感染リスクを正しく恐れる
- 行かない営業を基本とし、社内会議同様、積極的に電話+Webコミュニケーションツールを活用する
営業職も「非対面」で関係性を構築する時代へ。非対面で価値を提供し、関係を構築するスキルが不可欠になる。
- 接客職は、ソーシャルディスタンスを意識した接客を遂行する
- お店の場合、顧客同志が距離を保つ店舗運営を心掛ける
- 複数名でランチ・外食に行くことを避ける(できれば1人で)
- 昼食時間帯は12時など、混んでいる時のランチを避ける
- 許容されているならリモートワークを積極的に行い、その上で在宅勤務に早く慣れる
出社しないと集中できないことを理由に出勤するのは時代遅れ。
職場でお互いを助け合う行動
- 保育園や各学校が臨時のオペレーション(休園・休校など)を入れているケースもあるため、仕事内容をお互いがシェアできる環境をつくる
- 新たな対応への準備で現場は思った以上に忙しくなることが多いため、現場発信で無駄なルーティン業務をなくす取り組みを(提言など)する
***
挙げればきりがないですが、「三密予防」「助け合い」を中心に、普段からどうあるべきなのかを考えることが「S」の観点ではポイントとなります。
Governance:セルフマネジメント力を高める
企業であれば企業統治に該当する領域で、コンプライアンスなどが相当します。
個人だと「ルール徹底」「自らの生活・メンタルのマネジメント」が順じます。
「ルール徹底」に関して、行政から指導される行動指針を守ることは必須です。
必ずマスクを着用する、手洗いの励行、不要不急の外出を避けるべき時は避けるなどがそれにあたります。
「自らの生活・メンタルのマネジメント」も重要です。
リモートワークや時差出勤の機会が増え、生活リズムが狂うことや運動不足のために体調が優れない、また酒量が増えてしまうといったことは避けなければなりません。
また、ストレス発散も生活の中で取り入れることも重要です。
コロナ禍では、自らのことは自らが律して守る姿勢が強く問われます。
今回は、コロナ禍におけるビジネスパーソンの心得をESGの観点で整理をして紹介しました。
今までの常識とは明らかに異なる言動が必要となってきています。ぜひ、今回のコツを参考にしてみてください。
むしろ、ビジネスパーソンとしてワンランク上の視座を獲得できる「チャンス」にもなるでしょう。
この情報が、お役に立てれば幸いです。
伊庭 正康 株式会社らしさラボ 代表取締役
リクルートグループ入社。残業レスで営業とマネジャーの両部門で累計40回以上の表彰を受賞。その後、部長、社内ベンチャーの代表を歴任。2011年、株式会社らしさラボ設立。リーダー、営業力、時間管理等、年間200回以上の研修に登壇。リピート率は9割以上。現在は、Web(ZoomやTeamsなど)を活用した研修も好評。近著に『30歳までに読んでおきたい 会社でエリートになれるビジネスマナー&スキルWiki(徳間書店)』『トップ3%の人は、「これ」を必ずやっている 上司と組織を動かす「フォロワーシップ」(PHP研究所)』『できるリーダーは、「これ」しかやらない メンバーが自ら動き出す「任せ方」のコツ (PHP研究所)』『メンバーが勝手に動く最高のチームをつくる プレイングマネジャーの基本(かんき出版)』他多数の書籍がある。
※無料メーリングニュース(全8回)
※YouTube「研修トレーナー伊庭正康のビジネスメソッド」もスタート
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