ブラジルでは4月以降、新型コロナウイルス感染者数が急速に増えている。これに伴い、国内各州・都市は、生活必需品を販売する小売業を除く広範囲な部門で営業停止を要請。国内企業は、リモートワークの推進、eコマースや宅配サービスの活用など、事業モデルの転換を図っている。
そうした中、地域格差、所得格差、複雑な法制度といった社会課題が伝統的に山積するブラジルで、今回のコロナ危機を逆手に取ったスタートアップ企業による新ビジネスが誕生している。それらは、高度技術を使わずとも課題解決力とスピードを武器にするものが多く、注目を集めている。
サンパウロ市にある同社は、国内有数の高度医療を提供するイスラエル系のアインシュタイン病院などの元財務責任者が設立したスタートアップ企業。ウェブサイトや携帯アプリを通じて、30レアル(約600円、1レアル=約20円)で専門医による新型コロナ含む各種疾患のオンライン診断を24時間体制で提供している。通院する必要のないオンライン診断は、病院内での感染リスクを回避できるため有効だ。
同社は、中小零細企業の事業継続と雇用維持の問題に着目し、B to Cプラットフォームを通じ、新型コロナ終息後に利用できる中小企業の製品やサービスの商品券を販売するラットフォーマーだ。サイトに登録した中小企業は、自社製品の商品券を販売することで得た収入を通じて、従業員給与、家賃など固定支払いが維持できる仕組みだ。同社はまた、登録企業に対して、政府支援策の利用方法やeコマースの販売・宅配方法に関するコンテンツを供給する。登録企業数は2,000社となり、同社の既存顧客数だった120社を上回っている。
同社は、新型コロナウイルスの駆除を目的として、家庭向けに清掃サービスを提供する。元来、同社はB to Cプラットフォームを通じて、個人宅など向けの鍵製作・開錠や電気工事といった各種設備業者サービスを提供していたが、今回の新型コロナの感染拡大で、家庭内の清掃・衛生管理業務の需要増加に着目。ブラジル国家衛生監督庁(AIVISA)認可を取得し、サービスを開始した。
自家製料理を宅配するサービスを提供する同社は、これまではB to Bプラットフォームを通じて料理人と企業をマッチングさせ、料理人が作る自家製昼食を配送していた。ところが、新型コロナの感染拡大と自治体による自宅待機措置により、企業からの注文が激減。企業が導入するリモートワークに目を付けて、いわゆる「ウーバーイーツの自家製料理版」として、家庭向けにB to Cサービスを開始した。レストラン閉鎖により、同社サイトへの料理人登録も増加している。
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April 15, 2020 at 09:03AM
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新型コロナ危機を逆手に取った新たなスタートアップビジネスが台頭(ブラジル) | 地域・分析レポート - 海外ビジネス情報 - ジェトロ(日本貿易振興機構)
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