購買者の同伴は1名、メディアも1社1名で撮影は禁止(写真は主催者提供)。もちろん入場時には手指の消毒にサーモグラフィーでチェックという厳戒態勢下で行なわれた今年のセレクトセールだったが、セリ自体の熱気は例年通り。2日間の落札総額は187億円を超え、昨年よりダウンしたものの史上2位。競馬はここでも新型コロナに負けなかった。競馬ライターの東田和美氏がレポートする。 【写真】当歳市場で最高額をつけたヒルダズパッションの2020
* * * 1日目の1歳市場はまさに「ありがとうディープインパクト」セール。1歳での落札額では史上1位の5億1000万円と2位の4億円。1億7000万円で締めたキングカメハメハ産駒とともに有終の美を飾った。セレクトセールではともに7000万円台で落札された馬が、競走馬として文句ない実績を残したばかりか、種牡馬として世界有数のセリに成長していく過程に大きく貢献した。
セレクトセールで1億円の以上の値を付けた3歳以上のディープ産駒は100頭近くいるが、獲得賞金が落札額を上回ったのは数頭。月々の預託料を考えれば、ほとんどが落札時の期待を裏切っている。しかしサトノダイヤモンドのように2億3000万円で手に入れた馬が8億6000万円を稼ぐという「ギャンブル」も醍醐味。それを体現していたのがセレクトセールだ。
ディープインパクトが初めて上場された2008年の当歳市場での最高価格はビワハイジとの間に生まれた「トーセンレ―ヴ」の2億2000万円。エプソムCを勝つなど2億円以上は稼いだが、ブエナビスタの半弟としては、物足りないと言われてもしょうがなかった。
しかしこの年は6歳にしてマイルCSを勝ち5億円近い賞金を稼いだダノンシャークが3000万円、新潟の重賞を3勝したパッションダンスでも9000万円で落札されている。その後もしばらくおとなしいセリ結果が多く、ディープ産駒として初のダービー馬となったディープブリランテも3100万円、重賞未勝利ながら3億円以上を稼いだフィエロは4000万円。また牝馬はあまりセリが盛り上がらず、ラキシスは3000万円、デニムアンドルビーも3900万円でハンマーが落ちている。その後もミッキーアイル7600万円、サトノノブレス7600万円と、今考えれば高値連発が当然というわけでもなく、2009年、2010年だけでなく、2011年の桜花賞をマルセリーナが勝った後の当歳馬市場でも最高落札価格ではなかったのだ。
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July 18, 2020 at 02:08PM
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