●禁句!「そういう意味じゃなくて…」 前回、仕事で使う文章には大きく分けて2種類があるとお話ししました。 タイプ(1)一方的に知らせるだけでいい文章 タイプ(2)相手に行動してもらうことが必要な文章 たとえば「システムメンテナンスのお知らせ」というのは、(1)の知らせるだけでいい文章です。ただし、「この時間帯はホームページにアクセスしないでください」という場合は、「アクセスしない」という行動をしてもらわないといけないので(2)に該当します。 (1)の場合でも、書き手の意図が正しく伝わらないと意味がありません。書き手が自分の好きなように書いているだけだと、日記と同じですが、何かを「伝える」ためには、「はっきり伝わるように書く」必要があります。 また(2)の場合は、読み手が「で、どうしたらいいの?」あるいは「何をして欲しいのか?」ということがはっきりわからないといけません。 この2つに共通している要素は「はっきり書く」ということです。今回はこの「はっきり書く」ということについてお話しします。 まず、これに関連した話を少し。「心霊写真」というのをご存知でしょうか?TV番組でたまにやっていますが、集合写真などをよく見ると、そこにいないはずの人物(らしきもの)の顔や手が写っているというもので、その「写っているもの」が、実は霊で云々という「専門家」による解説がなされ、一同「キャーッ」となるのが、この手の番組です。 写真が出てきたときは、みんな何も気づきませんが、「専門家」が「左から2番目の人の肩の部分に」などという解説をすると、その部分が赤い丸で囲まれたりして初めて「キャーッ」となります。 話を戻しますと、心霊写真と、意図が伝わらない文章には共通点があります。それは、 ・パッと見ただけではわからない ・説明されないとわからない ・最悪なのは、説明されても、そう言われば、何となくそんな気がするという程度にしかわからない このような状況になっていると、書き手の言いたいことを、読み手に伝えることは不可能です。 ●解説が必要な文章・書類では意味がない よく、「ここに書いてあるのはこういう意味で」など、文章や書類を補足説明する人がいます。また、書かれた資料をもとに議論すると、意見が食い違って、 「いや、ここで言っているのはそういうことじゃなくて、こういう意味でして……」「何だそういうことか」 と、こういうやり取りは結構頻繁にありますが、これは書き手の意図が伝わっていない典型例です。 議論や説明ができる場合は何とかなっても、文章というのは多数の人に同時に伝える手段として使われることが多く、いちいち個別に解説や説明する機会がない場合が圧倒的に多いものです。だから、それを「読めばわかる」ようになっていないと意味がないのです。 「それは、読み手の問題では?私はちゃんと書いている」と、自信をもって主張される方もおられるかもしれませんが、ここが大きな勘違いで、コピーライティングでは、「読み手がどう思うか」がすべてなのです。普通の文章でもそれはまったく同じで、「読み手がそう受け取った」=「そう受け取られるような書き方だった」ということなんですね。 だから、「ここに書いてあるのは、Aという意味じゃなくて、Bという意味なんです」という説明はまったくナンセンス。最初から「Bです」ということが伝わるようになぜ書かない=書けないのか、ということが問題になってくるのです。 心霊写真のように、よく見ないとわからない、よく見れば確かにそんなようにも見える、というような文章ではなく、誰が見てもはっきりわかるように書くことがポイントです。
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July 20, 2020 at 05:10AM
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