2005年に始まったクールビズ。夏場のノージャケット、ノーネクタイは一般企業だけでなく、銀行などのかためな職種も導入しており、社会に定着したといってもいいでしょう。
しかし、みなさんはクールビズの本来の目的をご存じでしょうか。環境省の定義では、冷房時の目安である室温28℃でも夏を快適に過ごせるようにする取り組みのこと。西日よけのブラインド、日射の熱エネルギーを遮蔽する効果がある緑のカーテンなどもクールビズの一環で、その代表格がノージャケット、ノーネクタイといった軽装なのです。
気になるのは、この室温28℃という数字。温度の感じ方に個人差はありますが、ノージャケット、ノーネクタイでも暑いと感じている人も少ないでしょう。
それもそのはず、実際1898年(明治31年)以降、日本の平均気温は100年あたり1.2℃の割合で上昇(※1)、東京は年間平均気温が100年前より3.2℃も上昇(※2)しています。クールビズが始まった3年後には最高気温が35度を超える日を「猛暑日」と制定するなど、亜熱帯かと思うような気候の中で「快適に過ごすには、もっと軽装でもいいのでは?」と思うことも……。
※1 気象庁2017地球温暖化影響調査レポート ※2 気象庁HP
環境省は、例年5月から9月までとしていたクールビズ期間の設定を来年から廃止する方針を発表。近年の温暖化傾向にあたり、期間を定めず各企業や個人の判断や取り組みが大事だということでしょう。
さらに、今年の夏は新型コロナウイルス感染予防のためのマスクの着用や換気の励行によって、熱中症の危険が高まることが予想されています。
そこで今回は、「ビジネスマンのクールビズに対する意識調査」を決行。その結果をもとに、体温調節に詳しい専門家に快適な夏の装いを聞いてみました。
上半身のクールビズは浸透したが、下半身の許容度はまだまだ低い
全国の20〜50代までの男性ビジネスマンを対象に実施した「ビジネスマンのクールビズに対する意識調査」。67.3%が「勤務先、または上司に夏場のクールビズを推奨されている」と答えました。また、推奨・許容具合に関しては、「とても満足している」が24.2%、「やや満足している」が43.5%と、約7割は満足しているようです。
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一見、満足度が高いようですが、「夏場のクールビズは、勤務先や上司からもっと推奨・許容されるべきだと思いますか」という質問には、「とてもそう思う」が27%、「ややそう思う」が29%と、半数以上が一段と踏み込んだ軽装を求めていることが分かります。
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では、クールビズが推奨・許容される装いについて見てみましょう。
「あなたは勤務先、または上司に以下の夏場のクールビズを推奨または許容されていますか。それぞれお答えください」という問いに対して、「推奨されている+明確に推奨されてはいないが、許容されていると思う」の割合が最も高かったのは「ノーネクタイ」の98%、それに「ノージャケット」の97%が続きます。また、「長袖以外のシャツ・トップス」も92%と高い割合。一方、「スーツ以外のパンツ」は76%、「スニーカー」は55%、「サンダル」は21%と、ボトムや足元に関してはまだまだクールビズが推奨されているとは言い難い状況です。
「夏場のクールビズは、勤務先や上司からもっと推奨・許容されるべき」と答えた56%の人は、上半身のクールビズが浸透したからこそ、さらなる快適さという次のステップを望んでいるのかもしれません。
では、服装は体温にどの程度の影響を与えるのか。体温調節に詳しい専門家にお話しを伺いました。
ノーネクタイが涼しいのは空気の通り道ができるから
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環境生理学、運動生理学、スポーツ科学、健康科学を研究分野とする横浜国立大学の田中英登教授は、熱中症やスポーツ時の体温上昇など、体温調節研究の第一人者。特に、温熱の環境生理学では、気温や湿度など、熱ストレスとして体に負荷がかかる刺激や条件に対して、どのような身体反応が発生し適応するのかを研究しているそうです。
「熱による身体反応は、着るものによる衣服内環境によって変わります」と田中教授。洋服を着た状態の衣服内部の環境を「衣服内気候」と呼ぶのだとか。「体温調節では、気温や湿度といった要因に加えて、皮膚と衣服と間の環境である衣服内気候をどう調整するかが大きなポイントです」と続けます。
「例えば、ノーネクタイはなぜ涼しいのか。ネクタイを締めていると、通気性が悪くなり体熱がシャツのなかにこもります。涼しくしたいなら、この熱を逃がす必要がある。そこで、ネクタイを外してシャツの第一ボタンを開ける。このとき、シャツの裾をズボンの外に出して空気の通り道をつくると、腹部から体熱が外に逃げていきます。沖縄のかりゆしやハワイのアロハシャツは、暖かい土地で着るには理にかなったつくりなんですね」
そういった意味では、体の中で最も通気性が悪いのが「足」。ビジネス靴の中は湿度90%。靴の中は室内でも30℃以上にもなります。田中教授も「靴と靴下を履いていれば、もちろん体熱はこもるし、汗が蒸発せずにムレて不快感が上がりますから、熱を逃したほうが快適に決まっています。そういった意味では、通気性が良いサンダルはクールビズには最適と言えます」と語ります。
手足を冷やすことで効率的に体温を下げることができる
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ノーネクタイやノージャケット、サンダルは、衣服や靴の内に体熱を溜めず、涼やかな衣服内気候を実現します。しかし、田中教授によると、「それはあくまで衣服内気候を改善しているだけ。体温の上昇防止には役立っているかもしれませんが、体温自体を下げている訳ではありません」とのこと。人間の体温を自律的に下げるには、基本的には二つの要素しかないそうです。
「ひとつは気化熱。暑くて体温が上昇すると脳から指令が出て汗をかきます。その汗が皮膚上で蒸発することで熱を奪い体温を下げる仕組みです。もうひとつは血管の拡張。気温30℃以下なら、血管が拡張して血流が増えるだけで体熱は逃げていきます。なかでも、手のひらや足裏になどにあるAVA(動静脈吻合・どうじょうみゃくふんごう)と呼ばれる太い血管が大きな役割を果たしているんです」と田中教授。
AVAは直接冷やすことでも、体温低下に寄与します。実験では、30分の運動後に10度台の水に両手を付けると体温が効果的に下がることが分かったそうです。
「足裏にもAVAがあるので、同じ効果が考えられます。直接、冷水で冷やさないまでも、足裏の通気性がよいサンダルを履いていたほうが、体温は上がりにくいと予想されます。酷暑の時にはおでこなど顔周辺を冷やしがち。確かに、快適ではあるのですが、実質的に体温を下げるなら手足に気を使った方が効率はいい」と田中教授。
仕事中に足を水に浸けるのは難しいかもしれませんが、机の下に置いた小型扇風機からサンダルを履いて通気性がよい足に風を送ると、体温調節でも快適性でも、一定の効果が見込める可能性があるといいます。
高温多湿の日本だからこそ足元のクールビズが必要
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ビジネスシーンにもサンダルを取り入れることで、酷暑を快適にできる。医学的見地からも足元のクールビズはオススメなのですが、前述のアンケートからは、まだ足元は革靴、よくてもスニーカーという人が多いのも事実です。
そんな状況を変えるかもしれないのが、アウトドア・フットウェアブランドの『KEEN(キーン)』が始めた<StayCool with KEEN Sandal>。
冒頭でもお伝えしたように、温暖化と新型コロナウイルス感染予防のマスク着用で熱中症の危険度がさらに高まるこの夏を、涼しく快適に過ごすための足元スタイルを提案する取り組みです。
通気性に優れたフットウェアは通勤時や仕事中のストレスを解消します。また、田中教授も指摘したように、足元が涼しくなる事で体温の調整がしやすくなり、熱中症対策の一助にもなるのだとか。
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KEENは、ビジネスシーンでも違和感なく使えるフォーマルなデザインのサンダルを展開しており、なかでも、シンプルなスタイルにつま先を守るトゥ・プロテクションを施した水陸両用サンダル『ZERRAPORT II(ゼラポート ツー)』は、速乾性にも優れておりゲリラ豪雨でもへっちゃら。
田中教授に見ていただいたところ、「体温調節という部分だけなら、ビーチサンダルのほうがいいかもしれないけれど、つま先が出た状態で仕事をするのは業種によっては危ない。それに、カジュアル過ぎてビジネスには適さないですよね。ZERRAPORT IIは、しっかりとつま先が守られているし、だらしない感じがしない」とのこと。
もともと、高温多湿で不快指数が高かった日本の夏。昨今は、35℃を超える猛暑日やゲリラ豪雨の多発によって、さらに過酷さが増しています。上半身のクールビズに加えて、足元にも<StayCool with KEEN Sandal>を取り入れることで、快適なビジネスシーンを実現してみませんか。
Image: gettyimages
Photo: 木原基行 , KOBA
Source: KEEN(キーン)
"ビジネス" - Google ニュース
June 08, 2020 at 03:00PM
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