横浜DeNAベイスターズの球団社長に就いた2011年、球団の年間の売り上げは52億円に対し、赤字は約25億円という厳しい状況だった。日本のプロ野球は親会社が宣伝のために球団を持つケースが大半で、親会社が赤字を埋めてくれるという意識から、「経営」にはほど遠かった。
私は「試合に勝ってファンを喜ばせること」ではなく、「野球観戦を楽しんでもらうこと」を重視した。同僚や家族と酒を飲みながら観戦できるように多様な席を新設。オリジナルビールを開発し、フードメニューにも力を入れ、イベントも次々に企画した。
集客による入場料を基軸に飲食物やグッズ販売を伸ばし黒字化を達成。5年後に売り上げは110億円を超えた。観客動員数も11年の約1・7倍の194万人まで増えた。
こうしたビジネスモデルは、新型コロナウイルスの影響で通用しなくなった。人との接触を避ける「新しい生活様式」が求められ、スタジアムを満員にすることが想定できなくなったからだ。
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プロ野球の試合中継に伴う放映権料は、1球団ごとに20億~30億円くらい。一方、選手の総年俸は外国人も含めて平均で30億円程度に上る。集客を当て込んだ収支構造を変えられなければ、経営はどう考えても成り立たない。劇的な変革を求められている。どうすればいいのか。
例えば、多くの球団のキャンプ地であり、感染者も少ない宮崎県を「野球県」と位置付ける。全球団の選手らを宮崎県に集めて隔離し、1カ月後にプロ野球を開幕させる。その上で日本野球機構(NPB)自らが放映権を持ち、インターネットを使って月額千円で配信したらどうだろう。
プロスポーツがすべて止まっている今、多くの人が観戦するに違いない。仮に日本の世帯数の5分の1に当たる1千万世帯が加入すれば、売り上げは月100億円だ。さらにNPB自らが通販サイトを立ち上げ、「家飲みセット」などを販売すれば売り上げはもっと伸びる。
ネット上にバーチャルな観客席をつくれば、新たなエンターテインメント性を創出できるかもしれない。お客さんを楽しませることができれば、結果は返ってくる。消費者側は新しい試みに乗っかり、楽しみながら支えてほしい。
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これからは「在宅型」のビジネスが鍵になるのは間違いない。在宅型のインフラを提供する会社と球団が提携したり、そうした会社が球団を買収したりしても面白い。
日本のスポーツ界では、歴史の長いプロ野球の動向が指標になる。今は無観客でいつ開幕するかが議論の焦点になっており、無観客で開幕した先に何を目指すのかが見えない。経営が安定している球団が多い点からしても、サッカーのJリーグやバスケットボールのBリーグに先駆けてプロ野球が範を示すべきだろう。
(聞き手は久知邦)
◆池田純(いけだ・じゅん) 1976年1月、横浜市生まれ。住友商事や博報堂などを経て、史上最年少の35歳で横浜DeNAベイスターズの初代球団社長に就任した。2016年に退任後はJリーグ特任理事やスポーツ庁参与などを歴任。現在はBリーグ3部(B3)「埼玉ブロンコス」のオーナーも務める。
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May 22, 2020 at 04:00AM
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集客前提のビジネスもう通用しない DeNA球団黒字化・池田純さん - 西日本新聞
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