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2015年、和食器販売のたち吉は投資ファンドに売却された。創業家出身の最後の経営者となった14代目店主が、その間の経緯と胸の内を語る、特別企画の第3回。傾きゆく家業に入り、32歳で係長から社長に昇格。金融機関との交渉、取引先や従業員との信頼関係の構築に奮闘する。しかし、外資系コンサルティング会社と策定した再建計画は頓挫。業績低迷が続き──。
※ 第1回、第2回はこちらから 私が老舗たち吉を売った理由(1) 私が老舗たち吉を売った理由(2)
長い付き合いの地方銀行に、新しいコンサルティング会社Y社を紹介されたのが2011年暮れ。今度の担当者は地方中小企業の現実に理解があり、心強く感じました。
そんな矢先に、たち吉は不祥事を2つ起こします。
岡田高幸(おかだ・たかゆき)
1977年、東京都生まれ。早稲田大学商学部卒業後、2001年、たち吉に入社。百貨店での販売員、法人営業、経理・財務係長を経て、10年、代表取締役就任。15年、投資ファンドに事業譲渡し、退任。17年1月より福岡県直方(のおがた)市の直鞍(ちょくあん)ビジネス支援センターのセンター長。「中小企業の苦労が分かるセンター長」として地域活性化に取り組む。講演などもしている(写真/堀 勝志古)
ほっとした矢先に不祥事
12年1月、商品の陶磁器から規制値を超える鉛が検出され、岐阜県から回収命令が出ました。陶磁器では一般に、鮮やかな色を出すために鉛が使われ、抜き打ちのチェックで規制値を超える量が検出されることが時々あります。
第一報は商品部長からの電話でした。「大丈夫です。こちらで処理します」。僕は一瞬、そのまま電話を切りそうになりました。相手はベテランの部長で、商品には僕よりずっと詳しいのです。
しかし、すんでのところで「いやいや、これは緊急事態だろう」と思い直し、社長の自分が陣頭指揮をとって対応することにしました。回収のために新聞広告を手配したり、百貨店に連絡したり。百貨店の方たちからはきつく叱られました。「まさかたち吉が、こんな商品を出すとは思っていなかったよ」と。それでも最後は、「きっちり対応したから、これを教訓にしてください」と矛を収めてくださいました。流されずに早く自分で対応してよかったと思いました。
もう1つの不祥事は、2カ月後の3月、下請法違反で、公正取引委員会から是正勧告を受けたこと。たち吉のオリジナル商品の在庫を、取引先の産地商社に持たせていることが問題とされ、さらにカタログ協賛金を課していたことでもお叱りを受けました。在庫についてはこちらにも主張があり、数年間、当局と協議を重ねていましたが、最終的に、下請法に反するという結論に落ち着きました。
是正勧告を受けたことは新聞で報じられたものの、売り上げには影響しませんでした。ただ、取引内容を是正し、たち吉が取引先に代わって在庫を持つようになると、資金繰りに余裕のない中では仕入れそのものを絞らざるを得ません。その結果、お互いに商売がしにくくなったのは事実です。
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April 16, 2020 at 03:03AM
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私が老舗たち吉を売った理由(3) 14代目が明かす悪戦苦闘と最後の決断 - 日経ビジネス電子版
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