ビジネスの変化に速やかに追従できるように、ITシステム(ソフトウエア)の開発手法を見直そうという動きが活発化してきた。特に近年話題になっている開発モデルが「DevOps(デブオプス)」である。開発(development)と運用(operations)とを連携・融合させて、ソフトウエア開発とデプロイ(配備)とを高頻度で行いながら、ビジネス価値を最大化していく手法だ。開発サイクルを短期で回すアジャイル手法をさらに発展させた考え方とも言える。
伝統的なウォーターフォール型を長年用いてきた銀行業界などでも、金融市場の変化に速やかに対応するために、DevOpsの導入を始めているという。
「ウォーターフォール型の開発は今後も残るにせよ、企業が競争優位性を保っていくにはDevOpsを積極的に活用して機動性を高めていくべきと考えます」と述べるのは、レッドハットの玉利 裕重氏だ。「開発とデプロイを短くできるDevOpsの手法は、エンタープライズを含むあらゆる分野に適すると考えています」(玉利氏)。
リアルグローブ・オートメーティッドの大畑 貴弘氏は違う観点でDevOpsのメリットを説明する。「従来のウォーターフォール型では、仮に開発途中でアイデアが生まれても簡単には上流に立ち戻ることができないため、ビジネスの変化に迅速に対応できないだけではなく、エンジニアが持っている創造性がなかなか発揮できません。アジャイルなどの開発手法で育ってきた世代のエンジニアにとっては、ウォーターフォールよりもDevOpsの方が取り組みやすいと言えます」(大畑氏)。
カルチャー+プロセス+ツールが鍵
では具体的に、DevOpsをどのように自社に適用していけばいいのだろうか。玉利氏は次のように説明する。「DevOpsを実践するには3つの要素が必要と考えています。すなわち『人・文化』『プロセス』、そして『技術・ツール』の3つです」。
このうち、最も難しいのが「人・文化」だと玉利氏は指摘する。「『プロセス』や『技術・ツール』はベストプラクティスが蓄積されつつあります。残るはやはりカルチャーです。ウォーターフォールからマインドをどう切り替えていくか、チームをどう組織していくかなど、日本企業がDevOpsに取り組むときの課題がそこにあると考えています」(玉利氏)。
DevOpsを導入するために「人・文化」「プロセス」「技術・ツール」をどう考えればいいのか、また、どのようなソリューションが提供されているのか、次から具体的にみていこう。
(左から)SB C&S 加藤氏、レッドハット 玉利氏、リアルグローブ・オートメーティッド 大畑氏
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